私の選んだ縄文土器十選002・長沼 孝さん

(ジョーモネスク ジャパン Jomonesque Japan vol.4 掲載)


【北海道縄文土器十選】

○ 赤彩注口土器(野田生1遺跡:北海道二海郡八雲町野田生)
  [後期/𩸽澗式の時期/八雲町教育委員会(北海道指定有形文化財)]


○ 爪形・隆起線文土器(大正3遺跡:北海道帯広市大正町)
  [草創期/帯広市百年記念館]
○ 魚骨文(ニシンタイプ)土器(美々7遺跡:北海道千歳市美々)
  [早期/東釧路Ⅳ式の時期/北海道立埋蔵文化財センター]
○ クマ突起付深鉢形土器(穂香竪穴群:北海道根室市穂香)
  [後期/トコロ6類/根室市教育委員会(根室市指定有形文化財)]
○ 注口土器(八木B遺跡:北海道函館市尾札部町)
  [後期/𩸽澗式/函館市教育員会(函館市指定有形文化財)]
○ 下部有孔土器(八木B遺跡:北海道函館市尾札部町)
  [後期/𩸽澗式/函館市教育員会(函館市指定有形文化財)]
○ 人形付異形注口土器(茂辺地遺跡:北海道北斗市茂辺地)
  [後期/御殿山式/東京国立博物館(重要文化財)]
○ フクロウ意匠貼付土器(美々4遺跡:北海道千歳市美々)
  [後期/御殿山式/北海道立埋蔵文化財センター]
○ 異形胴部環状土器(ママチ遺跡:北海道千歳市真々地)
  [晩期/幣舞式/北海道立埋蔵文化財センター]
○ 異形双口土器(ママチ遺跡:北海道千歳市真々地)
  [晩期/幣舞式/北海道立埋蔵文化財センター]


Close-up:赤彩注口土器

野田生1遺跡:北海道二海郡八雲町野田生
[後期/𩸽澗式の時期/八雲町教育委員会(北海道指定有形文化財)]

 この土器は、球形の胴部下半に斜め上向きの注口、半球形の胴部上半に斜め方向の開口部があり、全体の形状が「ダルマ」形の特異な器形で、さらに全面が朱漆で彩色されていることから「あかぶたくん」の愛称で呼ばれています。文様は基本的に2本1組単位で、周囲の粘土を寄せて作り出す手法の「微隆線」で描かれた「弧線文」「タスキ状入組文」などで構成され、貼瘤が付けられています。類例は東北地方から新潟県北部にみられますが、北海道内での出土は少なく、道央から道南の後期後半の数か所の遺跡でしか発見されていません。また、全体の形状がわかるものも希です。本品は竪穴住居跡の床面から黒色の深鉢形とともに横倒しで、ほぼ完全な形で発見されました。その状況は赤と黒という色彩にみられる縄文文化の二分原理をも表している可能性があります。供伴した深鉢形土器や同時期の土器とは胎土や調整などが大きく異なり、東北地方からの搬入品と考えられます。また、突起部は60m離れた包含層、注口部は10m離れた住居跡の覆土から発見されています。出土状況及び突起や注口の接合状況などから、「ハレ」の場で使用され、特殊な扱われ方をした土器と考えられます。

あかぶたくん

赤漆注口土器 北海道野田生1遺跡 八雲町教育委員会
Spouted pot coarted in red lacquer, Nodaoi 1, Hokkaido, Yakumo Municipal Board of Education
H:31.4cm
写真提供:北海道立埋蔵文化財センター

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